「説明は、何もないのじゃ」
筒井康隆の短編集。
「最後の喫煙者」は昔、世にも奇妙な物語で映像化されました。
確か、作者本人が主人公として出演していたはず。
なんだかありそうな話で、印象に残っていました。
小説の方も、もちろんすごい。
喫煙者が迫害されていく様が、今の世の中、本当に起きつつあるかのようですね。
抗議団体や、これまでの差別の歴史をパロディ化しているようですが、パンチが効いています。
オチも面白いです。
その他、この短編集で印象に残ったのが、歴史を題材にした作品。
本能寺の変の時の豊臣秀吉の動きを、ねじ曲がった世界観で描いた「ヤマザキ」と、
桜田門外の変の騒動をパロディにしている「万延元年のラグビー」。
歴史に疎い私には、どこからかふざけているのかわかっていない部分もあるのですが、
(戦国時代に新幹線が無かったのは、何となくわかりますが)
「史実にあったこと」と「ふざけている部分」の混ぜ方が絶妙で、ふつうに時代小説を読むような感覚で読み進めてしまいました。
あとは、SFとしてすごい発想をしているのに、けっこう適当な感じに終わってしまう、
「急流」と「平行世界」。
短編で、しかもああいうオチにしてしまうとは。
贅沢です。
ふつう、あんなすごい世界を思いついてしまったら、もっと余計なことを書いてしまうんじゃないかなあ。
学生の頃は毒が強すぎた筒井康隆も、20代後半になって心が薄汚れてきたのか、面白くて仕方がありません。
何でも笑い飛ばしてしまうパワーがすごいです。
世の中の見方が変わってしまいそう。
こわい。こわい。
最近のコメント